アンドロイド・ニューワールドⅡ
「か、彼女なんて…そんな関係じゃないよ」

と、奏さんは答えました。

相変わらず、視線を逸らしたままです。

はい、彼女ではありませんね。

しかし。

「へぇ?学校1の鼻つまみ者が、偉くなったもんだな。高校デビューでもしたのか?」

と、奏さんの旧友は、嘲るように聞きました。

ん…?

学校1の鼻つまみ者、とは?

高校デビューとは?どういう意味なのでしょう。

それに、久し振りに旧友に会ったというのに、何故そのような、刺々しい言い方をするのでしょう。

「それとも、上手く介護要員でも捕まえたのか」

「ち、ちが…!そんなつもりで、彼女と一緒にいる訳じゃない」

「ふーん。何にせよ、お前には勿体ない美人だよな」

と、奏さんの旧友は言いました。

美人って、私のことでしょうか?

私は人ではなくアンドロイドですので、それを言うなら美アンドロイドです。

「まぁ、良いじゃん。高校デビューおめでとう。精々周りに迷惑かけないように頑張れよ」

と、奏さんの旧友は、せせら笑うように言いました。

そして、話はもう終わり、とばかりに踵を返し。

鼻を鳴らして、その場を立ち去りました。

…何だか、嵐のように過ぎ去りましたね。

何だったのでしょう、彼は。

いえ、奏さんの旧友なのでしょうけど。

終始刺々しくて、あまり友好的に接したいタイプではありませんでしたね。

そして。

「…」

と、奏さんも俯いたまま、無言です。

…大丈夫でしょうか?

折角旧友に会ったというのに、ちっとも嬉しそうではありません。

それに彼、旧友とは思えないくらい、毒のある言い方でしたね。

上から目線でしたし。

高校デビューの意味が分からないので、確かなことは言えませんけど。

どちらかと言うと、旧交を温めるよりも。

奏さんを、終始嘲って、馬鹿にしていたように思えます。

友達のやることではありません。

それなのに、彼のあの態度。奏さんのこの反応。

一体どういうことなのでしょう?

奏さんの気持ちを、理解してあげたいのですが。

先程のやり取りで、奏さんの気持ちを推測するのは、非常に難しいです。
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