アンドロイド・ニューワールドⅡ
「久露花局長経由で、紺奈局長に連絡が来たそうです」

「…」

「そこで紺奈局長から、僕が瑠璃華さんから話を聞くように、頼まれました」

と、碧衣さんは来訪の目的を話しました。

久露花局長が、紺奈局長に話したのですね。

そして久露花局長から相談を受けた紺奈局長が、碧衣さんに言って、私と話をするよう指示したと。

久露花局長も、随分とお節介なことをします。

紺奈局長もですが。

「私は、何も話すことはありません」

「あなたになくても、僕はあります。瑠璃華さんの悩みなんて、正直僕にはどうでも良いことですが、しかし紺奈局長の頼みなので、ちゃんと果たします」

「そうですか」

と、私は言いました。

碧衣さんは相変わらずですね。

「気の毒ですね。折角の親友を、みすみす手放すことになって」

と、碧衣さんは言いました。

紺奈局長から、知らされたのですね。奏さんが転校されること。

「僕が好きなのは、紺奈局長だけで良かった。失って悲しむことになるようなものなら、最初から作らない方がマシです」

と、碧衣さんは言いました。

そうですね。その通りだと思います。

その点、碧衣さんは賢いです。世渡り上手です。

失って困るものを、彼は作っていませんから。

ですが。

「…もし、それが紺奈局長だったら?紺奈局長が、あなたの前からいなくなるとしたら」

「無理矢理一緒についていきます」

と、碧衣さんは即答しました。

成程、それも一つの手ですが。

残念ながら、私にはその手が使えません。

「どうしても、一緒についていくことが出来ないとしたら?」

「そのときは紺奈局長を殺して、僕も死にます」

と、碧衣さんは笑顔で言いました。

これまた即答ですか。

紺奈局長は、絶対に碧衣さんの傍を離れることが出来ませんね。

しかし、私には奏さんを殺すことは出来ません。

それは論外というものです。
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