アンドロイド・ニューワールドⅡ
素朴な感想ですが。
碧衣さんって、こんなところに住んでるんですね。
私の住んでいる、愉快なアパートとは大違いです。
非常に防音性も高そうです。
「碧衣さんは、この家にずっと住んでいるんですか?」
と、私は尋ねました。
「え?はい。それがどうかしました?」
「いえ、これほど防音性が高かったら、近所に住んでいる住民の生活音も、聞こえないんじゃないでしょうか」
「生活音?確かに…。そんなに聞こえませんね。たまに足音とかは聞こえますけど」
と、碧衣さんは言いました。
成程。やはりそうなんですね。
それは残念です。碧衣さんも私の住んでいるアパートに来れば、もっと効率的に『人間交流プログラム』を遂行出来たでしょうに。
しかしこればかりは、住んでみなければ分からないことなので、どうしようもありませんね。
「それで、私は何をすれば良いんですか?」
と、私は聞きました。
今日は、碧衣さんが私を呼んだのです。
脳内から直接通信を入れて、「今日時間があるようなら、この住所に来てください。僕の部屋です」と、メッセージが入ったもので。
すると。
「あ、はい。ちょっと毒味をお願いしたくて」
と、碧衣さんは言いました。
成程、毒味ですか。
未経験なんですが、私でも出来ることなんでしょうか。
「何の毒味ですか?」
「まずこれです」
と、碧衣さんは言いました。
そして、ほかほかと湯気を立てるお皿を、私の前に出しました。
これは何でしょう。
「何ですか?」
と、私は聞きました。
「ハンバーグですよ。食べたことありません?」
と、碧衣さんは言いました。
ハンバーグですか。聞いたことはあります。
確か、家畜の肉をすり潰して、挽き肉状にしたものに、
調味料や卵を入れてこね回し、焼いた食べ物です。
人間の食卓に上がる定番メニューだと、以前読んだ本に書いてありました。
それは分かりますが。
「食べたことはありませんね」
と、私は言いました。
『新世界アンドロイド』は、人間と違って、食事を必要としません。
よって、このような食べ物を摂取したこともありません。
チョコレートを始めとする甘味なら、局長に勧められて、何度も食べたことがあるのですが。
焼いた挽き肉を食べたことはありませんね。どんな味なんでしょう。
そもそも、気になる点があります。
「碧衣さんは、これを何処から調達したんですか?」
「え?自分で作ったんですよ」
と、碧衣さんは答えました。
なんと。そういうことだったんですね。
「まずは牛と豚を育てるところから始めようと思ったんですが、家畜を飼うスペースの確保がなかなか出来なくて…。仕方ないので、肉はスーパーで買ってきたものなんですが」
「そうなんですね」
「あとは、レシピを見ながら作りました。あ、参考にしたレシピはこれです」
と、碧衣さんは言いました。
同時に、サッと彼が見せてくれたのは、一冊の本です。
『猿でも分かる!初めての料理』。
成程。あのシリーズは、やはり万能ですね。
私もよく読みます。
「さぁ、どうぞ。ちょっと食べてみてください」
「分かりました。ではいただきます」
と、私は言いました。
そしてナイフとフォークを持ち、碧衣さんの作ったハンバーグという食べ物を、人生…ならぬ、
アンドロイド生で、初めて口にしました。
もぐもぐ。
成程、こんな味なんですね、ハンバーグって。
「どうですか?」
と、碧衣さんは尋ねました。
「どう、とは?」
「薬の味、します?」
と、碧衣さんは尋ねました。
…そういえば。
毒味をしてくれと、先程仰っていましたね。
碧衣さんって、こんなところに住んでるんですね。
私の住んでいる、愉快なアパートとは大違いです。
非常に防音性も高そうです。
「碧衣さんは、この家にずっと住んでいるんですか?」
と、私は尋ねました。
「え?はい。それがどうかしました?」
「いえ、これほど防音性が高かったら、近所に住んでいる住民の生活音も、聞こえないんじゃないでしょうか」
「生活音?確かに…。そんなに聞こえませんね。たまに足音とかは聞こえますけど」
と、碧衣さんは言いました。
成程。やはりそうなんですね。
それは残念です。碧衣さんも私の住んでいるアパートに来れば、もっと効率的に『人間交流プログラム』を遂行出来たでしょうに。
しかしこればかりは、住んでみなければ分からないことなので、どうしようもありませんね。
「それで、私は何をすれば良いんですか?」
と、私は聞きました。
今日は、碧衣さんが私を呼んだのです。
脳内から直接通信を入れて、「今日時間があるようなら、この住所に来てください。僕の部屋です」と、メッセージが入ったもので。
すると。
「あ、はい。ちょっと毒味をお願いしたくて」
と、碧衣さんは言いました。
成程、毒味ですか。
未経験なんですが、私でも出来ることなんでしょうか。
「何の毒味ですか?」
「まずこれです」
と、碧衣さんは言いました。
そして、ほかほかと湯気を立てるお皿を、私の前に出しました。
これは何でしょう。
「何ですか?」
と、私は聞きました。
「ハンバーグですよ。食べたことありません?」
と、碧衣さんは言いました。
ハンバーグですか。聞いたことはあります。
確か、家畜の肉をすり潰して、挽き肉状にしたものに、
調味料や卵を入れてこね回し、焼いた食べ物です。
人間の食卓に上がる定番メニューだと、以前読んだ本に書いてありました。
それは分かりますが。
「食べたことはありませんね」
と、私は言いました。
『新世界アンドロイド』は、人間と違って、食事を必要としません。
よって、このような食べ物を摂取したこともありません。
チョコレートを始めとする甘味なら、局長に勧められて、何度も食べたことがあるのですが。
焼いた挽き肉を食べたことはありませんね。どんな味なんでしょう。
そもそも、気になる点があります。
「碧衣さんは、これを何処から調達したんですか?」
「え?自分で作ったんですよ」
と、碧衣さんは答えました。
なんと。そういうことだったんですね。
「まずは牛と豚を育てるところから始めようと思ったんですが、家畜を飼うスペースの確保がなかなか出来なくて…。仕方ないので、肉はスーパーで買ってきたものなんですが」
「そうなんですね」
「あとは、レシピを見ながら作りました。あ、参考にしたレシピはこれです」
と、碧衣さんは言いました。
同時に、サッと彼が見せてくれたのは、一冊の本です。
『猿でも分かる!初めての料理』。
成程。あのシリーズは、やはり万能ですね。
私もよく読みます。
「さぁ、どうぞ。ちょっと食べてみてください」
「分かりました。ではいただきます」
と、私は言いました。
そしてナイフとフォークを持ち、碧衣さんの作ったハンバーグという食べ物を、人生…ならぬ、
アンドロイド生で、初めて口にしました。
もぐもぐ。
成程、こんな味なんですね、ハンバーグって。
「どうですか?」
と、碧衣さんは尋ねました。
「どう、とは?」
「薬の味、します?」
と、碧衣さんは尋ねました。
…そういえば。
毒味をしてくれと、先程仰っていましたね。