アンドロイド・ニューワールドⅡ
やはり二学期になったのですから、身も心も(心はありませんが)心機一転、『人間交流プログラム』の遂行の為、頑張りたいところですね。

そんな二学期、最初の授業は。

「最初の授業から、理科室に移動とは…。まるで、私の出鼻を挫くかのようですね」

「う、うん…。まぁ、仕方がないよ」

と、奏さんは言いました。

今学期最初の授業は、生物。

理科室に移動して行う、所謂移動教室です。

そして、以前もこの件については、長々と語ったことと思いますが。

この学園において理科室は、校舎西棟二階の隅っこにあります。

一方私達、一年Aクラスの教室も、西棟にあるのですが。

私達の教室は一階であり、車椅子に乗っている奏さんが理科室に向かうには、エレベーターを利用しなければなりません。

階段に車椅子用昇降機がついていれば良いのですが、残念ながらついていないので。

しかしこの学園のエレベーターは、西棟東棟両方に、計二基あるにも関わらず、西棟のエレベーターは故障しており。

東棟にある、一基のみしか稼働していません。

つまり、奏さんが二階に移動するには、移動先が西棟であろうと東棟であろうと関係なく、東棟のエレベーターを使う他ないのです。

従って、奏さんの移動教室は、大抵の場合大移動となります。

そのせいで、授業に間に合わず、遅れてしまうこともしばしばあります。

以前はその件で、化学の教師と揉めたこともありますが…。

しかしだからといって。

「瑠璃華さん。何度も言ってるけど、俺に付き合わずに、瑠璃華さんだけでも先に…」

「では移動しましょうか、奏さん」
 
「…うん…」 

と、奏さんは頷きました。

私と奏さんは友人、親友であり、その関係は一蓮托生です。

私に、奏さんを見捨てるという選択肢はありません。

よって、今日も元気に…東棟のエレベーターに走ることにします。
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