アンドロイド・ニューワールドⅡ
…と、思っていたのですが。




 
「えー?あれ、もうゲットしたの?」

「うん。予約してたからさー、発売日に買えたんだ〜」

「羨ましー。私も予約しとけば良かったなぁ」

…と、私を除く、三人の第4グループの女子生徒は、楽しげにお喋りをしていました。

生物からはかけ離れたお話です。

先程から聞こえている、会話の文脈から察するに、化粧品の話ですね。

某メーカーから発売された、秋の新色アイシャドウ、とやらの化粧品の話です。

何だかカタカナの用語がたくさん出てきて、難しい話をしているように聞こえますが。

おおよそ、生物の授業の話に、関連のある話題だとは思えません。

更に、残る男子生徒二名は。

「…」

と、一人は無言で、スマートフォンを弄り。

「…」

と、もう一人も無言で、シャープペンシルを動かして、ノートに文字を書いていました。

スマートフォンの画面はよく見えませんが、何かをタップし、スワイプして弾き、の作業を繰り返しています。

その最中に、「ちっ」とか、「おっ、全消し」とか、呟いているのが聞こえます。

更にスマートフォンから、ガシャーンとかドドドドとか、不思議な機械音が聞こえます。

恐らくですが、生物について調べている訳ではないと思われます。

そしてもう一人の、先程からシャープペンシルを動かしている男子生徒。

彼だけは、率先して生物について調べ物をしているのか…と、思いましたが。

彼の手元は、およそ生物とは関係ない…外国語の課題に、取り組んでいました。 

今は生物の授業なのですが、彼は何故、外国語の勉強をしているのでしょう。

人間だって生物の一つなのだから、生物たる者、外国語の勉強は必要である、という、彼なりに生物を広義に解釈しているのかもしれません。

そう思えば、外国語の勉強をしていることにも、納得出来ますが…。

…しかし、私達は、こんなことをしていても良いのでしょうか?
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