アンドロイド・ニューワールドⅡ
…しかし。

「えっ。…そ、それって不味くない?」

と、奏さんは言いました。

昼休み、奏さんに「グループ課題どうなった?」と尋ねられ。

「何の進捗もありません」と答えたら、奏さんはこの反応でした。

「何が不味いのでしょうか?」

「え、だって…。何も進んでないって…。テーマは?テーマくらいは決まったんだよね?」

と、奏さんは尋ねました。

何故か焦っているように見えます。

奏さんはグループが違うのですから、焦る必要はないと思うのですが。

「いいえ、決まっていません」

と、私は答えました。

何の進展もしていないのですから、テーマが決まっているはずもありません。

きっとこのまま、三回目、四回目、五回目の授業も、お喋りの時間になったり、スマートフォンで遊ぶ時間になったり、他科目の課題に費やす時間になるのでしょう。

それはそれで構いません。

人間には寿命があり、限られた時間しか生きることは出来ないのですから。

その限られた時間を、自分がどのように使うかは、それは自分で決めることです。

他人に左右されることではありません。

「え、ほ、本当にヤバいね。すぐにでも決めないと…」

「いえ、その必要はありません」

「え、何で?」

「どうやら私の所属する第4グループの方々は、課題に真面目に取り組む気がないようなのです」

と、私は説明しました。

課題に意欲的なメンバーが集まっている奏さんのグループでは、有り得ないことかもしれませんが。

私のグループでは、そうなのです。

グループに所属するメンバーが違えば、グループの方針が違うのも当たり前です。

「つまりやる気がない、ということですね。やる気のない方々を、無理に誘うのもご迷惑でしょうし。このまま放置することにしました」

「え、えぇぇ…?それは不味いよ…」

と、奏さんは言いました。

何が不味いのでしょうか。

「課題をやらないってことでしょ?間違いなく成績に響くし…」

「それは、私には関心のないことです」

「それに、『遅れても良いから完成させなさい』って言われたらどうするの?いつまでも無視出来ないよ?」

と、奏さんは言いました。

成程、確かにそう言われる可能性はありますね。

そうなったら、いくら課題に関心がなくても、無視することは出来なくなります。

最悪学年が変わるまで、延々とこのグループ課題に付きまとわれることになります。

それは、確かに煩わしいですね。
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