アンドロイド・ニューワールドⅡ
そして迎えた、三回目の生物の授業です。

もう折り返しですね。

今日を含め、あと三回の授業で、課題を終わらせなければなりません。

しかし、私の第4グループでは、まだ何について調べるか、そのテーマすら決まっていない状況です。

奏さんの言う通り、これは非常に不味い状況です。

見たところ、他のグループでは、既に調べた結果を模造紙に書き込み始めてもいるようです。

言うまでもなく我々のグループの模造紙は、まだ真っ白です。

驚きの白さですね。

これを埋めるには、まだまだ時間がかかりそうです。

…しかし。

「ねぇ、昨日の番組観た?」

「あ、観た観た。○○出てたよね〜」

「そうそう。超格好良かったー!」

「えー。私、見逃しちゃったよ」

…と、相変わらず湯野さんを含む女子生徒三名は、お喋りに夢中です。

今日は化粧品ではなく、テレビ番組の話をしているようですね。

そして。

「…」

と、スマートフォン男子生徒は、相変わらずスマートフォンを弄り。

「…」

と、外国語の課題をしていた男子生徒は、今日も別科目の課題に精を出しています。

今日は外国語ではなく、数学のようですね。

なんということでしょう。前回の授業と、何ら進展がありません。

彼らは、焦るということを知らないのかもしれません。

人生に、常にゆとりを持って生きる…素晴らしいですね。

是非とも見習いたい、スローライフ精神ですが。

しかし、グループ課題の締め切りは、私達を待ってはくれません。

「…皆さん、そろそろ本気で、課題に取り組んでみては如何でしょう?」

と、私は再度彼らを促しました。

成績評定など興味はありませんが、課題が終わるまで、年度末まで追いかけ回されるのは御免被りたいです。

「現在、もう三回目の授業です。猶予はほとんどありません。早めに…」

「うるせぇなぁ。お前なん…」

と、数学の課題に取り組んでいた男子生徒は、顔を上げて言いかけました。

ご意見ありがとうございます。

それから。

「その、問4の答えですが、それは間違っています。どうやら計算ミスのようですね。もう一度計算し直してみてください」

と、私は彼の手元のノートを見ながら言いました。

先程から気になっていたのです。間違っているので。

と、このように私が注意したにも関わらず。

「ちっ。うるせぇな。余計なお世話だよ!」

と、数字の課題に取り組んでいた男子生徒は言いました。

間違いを指摘しただけで、何故か怒られてしまいました。

生理前でしょうか。
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