アンドロイド・ニューワールドⅡ
一人でやれ。前もそう言われましたね。

すると。

「そうそう。電波ちゃんがやってよ。それで一件落着でしょ?」

と、湯野さんは言いました。

例の、悪癖笑顔を浮かべて。

「だよねー。電波ちゃん超やる気だしさ。任せるわ〜」

「うん。やる気がある人がやれば良いよね」

と、残る女子生徒お二人も、続けて言いました。

そして。

「だな。言い出しっぺはお前なんだから、お前がやれよ。それで満足だろ?」

と、数学の課題に取り組んでいた男子生徒も言いました。

何が満足なのか、理解不能です。

更に。

「ほら。お前一人でやってろ」

と、スマートフォン男子生徒が、白紙の模造紙を私に向かって放りながら言いました。

私は、その模造紙を受け取りました。

成程、理解しました。

自分達は意欲がなくて出来ないので、意欲のある私に任せる、一任する、ということですね。

これは、私がクラスメイトから、信頼を受けている証です。

まさかグループ課題を、一人で任せられるとは。

信頼がなければ、そんなこと出来ませんから。

そして、お前なら出来る、お前ならやってくれる、という期待の意味も込められています。

クラスメイトに、このように思って頂けるとは…。

とても光栄ですね。

「分かりました。では、課題は私が引き受けます。皆さん、私にお任せください」

と、私は言いました。

それを聞いたグループメンバーは、何だか五人共、ポカンとしているように見えましたが。

きっと気のせいでしょう。
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