アンドロイド・ニューワールドⅡ
翌日。

昼休み、私はいつも通り、奏さんと昼食を摂っていました。

今日のパンは、チョコデニッシュとあんぱんです。

久露花局長が好きそうですね。

たまには、甘いパンも悪くありません。

何より、昨日から私は、頭をよく使っていますから。

疲れた頭には、糖分の摂取が効くと言います。

あの程度で私の頭は疲れたりしませんが、念の為です。

「そういえば、瑠璃華さん」

「はい、何でしょう」

と、私は答えました。

「俺、この後図書室に集まって、生物のグループ課題をやるんだけど…」

「成程。深海魚について調べるんですね」

「…いや…普通に…クジラについて調べようって…。一番大きいから…」

と、奏さんは言いました。

成程、水の中の生き物で、一番大きなものを調べるのですね。

「そうですか…」

「瑠璃華さん、またちょっと残念そうな顔してる…。ごめんね、深海魚じゃなくて…」

と、奏さんは呟きました。

「…それで、瑠璃華さんの方はどうなったの?」

と、奏さんは尋ねました。

「私の方、とは?」

「瑠璃華さんのグループは、まだテーマが決まってないって言ってたから…。あれはどうなった?もう、テーマは決まった?放課後に集まったりするの?」

と、奏さんは尋ねました。

私の所属するグループの、課題の進捗状況を聞いているのですね。

それなら、ちゃんと進展しています。

「はい。テーマは決まりました。しかし、放課後に集まりはしません」

「え、そうなの?じゃあ昼休みに集まったりは…?」

「しません。私のグループは、何処にも集まったりはしません」

と、私は答えました。

すると、奏さんは心配そうな顔になりました。

「え…。でも、かなり遅れてたのに…。授業だけで完成出来るの?…って、他のグループのことに、首突っ込むのも余計なお世話だけど…」

と、奏さんは言いました。

気にかけてくださって、ありがとうございます。

「問題ありません、奏さん。ちゃんと進んでいますから。昨日、帰り道に市民図書館に行って、資料集めも済ませました」

「あ、昨日集まったんだ?」

「いえ、集まってはいません」

と、私は答えました。

図書館に行き、資料集めをしたのは、あくまで私一人です。

しかし、そんな私の返事に、奏さんは首を傾げました。

「…えっと。それってどういうこと…?瑠璃華さんが代表して、一人で図書館に行った、とか?」

「惜しいですが、そうではありません。私達第4グループは、課題を全て私が任されることで解決しました」

「…は?」

「私一人で、課題を完成させることになったのです」

と、私は答えました。

これには、奏さんはパンを食べる手を止めて、ポカーンとしていました。

何か面白いものでも見えたのでしょうか。
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