アンドロイド・ニューワールドⅡ
生物の授業の後。

「あれって、全部瑠璃華さんの功績だよね」

と、奏さんはいの一番にそう言いました。

「あれ、とは?」

「あのレポートだよ。だって、あれって全部瑠璃華さんが一人で調べて、一人で書いたんでしょ?」

「えぇ、そうですね」

と、私は答えました。

「そう言ってやりたかったよ、皆に。あれは瑠璃華さんが一人で頑張ったんだって。何もしてない癖に、他の5人まで褒められて…何だか釈然としない」

と、奏さんは言いました。

私の為に、憤慨してくれているのでしょうか。

「私は別に構いません。グループのメンバーに任されたから、全力を尽くしたまでです」

「それでも、だよ。努力したんだから、正当な評価を受けないとおかしいよ」

と、奏さんは言いました。

そうかもしれませんね。

ですが、私は学校での自分に対する評価など、どうでも良いですから。

「私は気にしていません」

「これだからなぁ、瑠璃華さんも…。…じゃあ、俺から瑠璃華さんに、努力賞ってことで…今日、昼休みに何か奢るよ」

と、奏さんは申し出てくれました。

それは魅力的な誘いです。

「ではお言葉に甘えて…。焼きそばパンをお願いしても宜しいでしょうか」

「またか…。たまにはもっと…。いや、もう分かってたから良いか…」

と、奏さんは呟きました。

焼きそばパン、ありがとうございます。

生物教師に褒められるより、クラスメイトから賛辞されるより。

奏さん一人に褒められることの方が、私にとっては余程価値のある行為です。
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