アンドロイド・ニューワールドⅡ
さて、それではシンキングタイムです。

まずは、リーダーを誰がやるか、ですね。

「どなたか、リーダーになりたい方、いらっしゃいますか?」

と、私はグループメンバーに尋ねました。

湯野さん含む四人は、私はやりたくない、とばかりにそっぽを向きました。

成程、その意志はよく分かりました。

「では、私がリーダーを務めましょうか」

「え、ちょ、ちょっと待ってよ瑠璃華さん」

と、奏さんは私を止めました。

「はい、何でしょう?」

「瑠璃華さんは、別にリーダーになりたい訳じゃないんでしょ?」

「そうですね。ですが、誰も立候補者がいないので…」

「皆、リーダーをやりたくないなら、公平にじゃんけんで決めようよ」

と、奏さんは言いました。

民主的ですね。

しかし。

「ちっ。余計なこと言わないでよ。電波ちゃんがやるって言ってるんだから」

と、湯野さんは舌打ちをして言いました。

「電波ちゃんって…。瑠璃華さんは別に、やりたくてやってる訳じゃ…」

「じゃあアンタがやれば良いじゃない」

「何でそうなるの?俺はただ、公平に決めようって言ってるだけだよ」

「は?自分がやらされたくないだけでしょ?」

「皆さん、落ち着きましょう。私の為に争わないでください」

と、私は仲裁に入りました。

早くも、議論が紛糾するところでした。

まだ、献立の一品目も決まっていないのに。

「いや、別にアンタの為に争ってる訳じゃないんだけど」

「落ち着きましょう湯野さん。争いは何も生みません。破滅を呼ぶだけです。人類は互いに手を取り合って、平和的に問題を解決しなければなりません」

「…何言ってんの…?」

と、湯野さんは首を傾げました。

この理論が理解出来ないとは。私は人類の未来が心配です。

しかし大丈夫です。世界の破滅など、我々『Neo Sanctus Floralia』が許しません。

ここは、『Neo Sanctus Floralia』所属の『新世界アンドロイド』である私が、自己犠牲の精神を見せることで、人類の平和の先駆けとなりましょう。

「奏さん、私は大丈夫です。私がリーダーになります。そして人類を…このグループの平和を守ります」

と、私は言いました。

皆が嫌がることは、率先してやりましょう、と久露花局長も言っていましたしね。

そこで局長の言っていた通り、皆が嫌がるように、各部屋にピンポンダッシュを繰り返したことがあるのですが。

「意味が違う。それは意味が違うよ瑠璃華ちゃん」と、局長に怒られたことがあります。

未だに意味が分かりませんが、今はその話は置いておきましょう。

ともかく、このグループのリーダーは、私がやります。

私は、記入用紙のリーダーの欄のところに、自分の名前を書きました。

これで、リーダーは決まりましたね。

「では、サブリーダーを決めましょう。どなたか、立候補者はいませんか?」

と、私は尋ねました。

すると。

「そんなの、幽霊君の緋村がやれば良いじゃん」

と、女子生徒の一人が言いました。
< 94 / 467 >

この作品をシェア

pagetop