アンドロイド・ニューワールドⅡ
更に。

「そうそう。リーダーが電波ちゃんなら、サブリーダーは幽霊君で決まりだよねー」

「お似合いじゃん。いつもつるんでるし」

と、湯野さんを含む女子生徒二人は言いました。

幽霊君…とは、奏さんのことなんでしたね。

「それは…別に構わないけど」

と、奏さんは答えました。

そうですか。奏さんが、サブリーダーになってくれますか。

「奏さん、本当に良いんですか?」

「うん…良いよ。俺がサブリーダーになる」

と、奏さんは言いました。

分かりました。では、サブリーダーの欄には、奏さんの名前を書きましょう。

…それは、良いのですが。

「あなたに言いたいことがあります」

と、私は奏さんがサブリーダーをやれば良い、と発言した女子生徒に言いました。

「…は?何?」

「奏さんを幽霊君と呼ぶのはやめてください。非常に不快です」

と、私は言いました。

これには、言われた女子生徒のみならず、奏さんも驚いていました。

何に驚いているのでしょう。

「このグループのリーダーは私なので、私の方針には従ってもらいます」

「…は?何それ?リーダーだからって、命令する訳?」

と、女子生徒は尋ねました。

「命令するつもりはありません。ですが、私の方針が気に入らないのなら、グループを抜けて頂いて結構です」

と、私はハッキリと伝えました。

リーダーとは、グループ内で起きる全ての事象に責任を負う代わりに、グループの方針を決め、メンバーにその方針を遵守させる権利があります。

それが嫌なら、グループに所属する必要はありません。

出ていけば良いだけのことです。

「それが分かったら、今後一切、このグループ内で奏さんを、幽霊と呼ぶのはやめてください。分かりましたか?」

「…分かったわよ」

と、女子生徒は悔しそうに言いました。

そうですか。それなら良いです、

「皆さんも肝に銘じてくださいね。私がリーダーになったからには、私は皆さんのことを、責任を持って牽引しますが。しかし足を引っ張るような行為をするなら、それは糾弾させて頂きます」

と、私は言いました。

それが、リーダーの負うべき責任であり、義務ですから。

私の方針に従えないのなら、私がリーダーをやる、と言わなかった自分を恨んでください。

「では、サブリーダーは奏さんで…。これはつまり、私がいないときは、サブリーダーの奏さんの言葉が、リーダーである私の言葉だということです」

と、私は言いました。

「皆さんが私に意見することは、当然許されますが。しかし、決定権を持つのは私です。私がいないときは、サブリーダーである奏さんです。それを、よく覚えておいてください」

と、私は続けて言いました。

湯野さんも、他の女子生徒も、男子生徒一人も、何も言わずに。

ただ、恨めしそうに私を睨んでいました。

グループを率いるリーダーとして、当然の心構えを説いただけのつもりですが。

彼女達は、リーダーを何だと思っていたのでしょう。

私はただ、指揮系統をはっきりとさせただけです。

そうでなければ、リーダーやサブリーダーを決める意味なんてありませんから。
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