アンドロイド・ニューワールドⅡ
「分かりました。具体的には、どのようなデザートが良いですか?」

と、私は尋ねました。

「そうだなー。やっぱりケーキかな?チョコケーキか…」

と、湯野さんは言いました。

チョコケーキ…。

久露花局長が好きそうですね。

「チーズケーキでも良いかなー。あ、ロールケーキにしても良いかも?」

「おっ、良いじゃん。私はシュークリームとか食べたいなぁ」

と、湯野さんと、もう一人の女子生徒は言いました。

夢が広がっていますね。

しかし、そこに。

「ちょ、ちょっと待って」

と、奏さんは言いました。

「何?」

「その…ケーキは良いと思うんだけど、そのケーキって、スポンジケーキから作るの?それとも、市販のスポンジケーキを買ってきて、飾り付けだけ自分でするってこと?」

と、奏さんは聞きました。

市販のスポンジケーキ、そんなものがあるんですね。

「は?スポンジケーキから作るに決まってるじゃん」

「…それは…時間的に、難しいんじゃないかな?生クリームとか…泡立てるのも時間がかかるよ、きっと」

と、奏さんは言いました。

「時間が少なくて済む…ホットケーキミックスで作れるデザートを作ったら、どう?パウンドケーキとか…クッキーも、ホットケーキミックスで作るレシピを探して」

と、奏さんは代案を提示して言いました。

ホットケーキミックス…。そんなものが売られているんですね。

それを使えば、時短になると。

しかし、奏さんのこの提案に、湯野さんともう一人の女子生徒は、非常に不満顔でした。

「何つまんないこと言ってんの?」

「つまんないとかじゃなくて…。時間配分の話だよ。デザートだけ作るんじゃないんだから…」

と、奏さんは言いました。

「確かに、時間配分は大切です。デザートを作る案は賛成しますが、あくまでデザートは一品だけ、残りは一汁二菜にしましよう」

と、私は言いました。

デザート二品でも良いのですが、そうすると時間が足りなくなりそうですから。

「なーんだ、つまらないの…。デザートは一個だけ?」

「しかも、手のかからないものだって。お菓子作りに、手のかからないものなんてないよねぇ?」

と、不満そうに湯野さんともう一人の女子生徒は言いました。

デザートをたくさん食べたい…まるで久露花局長のようですね。

あれほどデザートが好きな、頭の中までお砂糖たっぷりの人間は、久露花局長だけかと思っていましたが。

意外と、そうでもないのかもしれません。

良かったですね久露花局長。お仲間がいらっしゃいますよ。
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