アンドロイド・ニューワールドⅡ
自分は発言してはいけない、と誤解していらっしゃるのかもしれませんが。

そんなことはありません。

思ったことがあるのなら、何でも発言して頂いて結構です。

ただし、代案があるのなら、ですが。

「…俺は別に、どうでも良い。どうせ、作るのは女子連中なんだろ?」

と、その男子生徒は言いました。

はい?

「は?アンタ、私らに押し付けるつもり?」

と、これには湯野さんもご立腹です。

「押し付けるも何も、決めてんの全部お前らじゃん。言い出しっぺがやれよ」

「意味分かんない。自分だってグループのメンバーでしょ?ちゃんとやりなさいよ」

と、湯野さんは言いました。

全くその意見には同感ですが、つい先週、生物のグループ課題を私一人にやらせた方と、同一人物だとは思えませんね。

「そうですね。6人でグループなのですから、皆さんで協力しましょう。あなたも役割がありますし、そして意見を言う権利もあります」

と、私は言いました。

「意見を言わず黙っておけば、自分には何の責任もない、と思っていらっしゃるのでしたら、それは大きな間違いです。代案があるのに黙っているなら、あなたにも充分責任はあります」

「…ちっ…」

と、男子生徒は舌打ちしました。

何だか、皆さん短気な方が多いですね。

カルシウムが足りていないのかもしれません。

牛乳料理を取り入れた方が良いのでしょうか。

「じゃあ言わせてもらうよ。お前ら、面倒なこと言い過ぎ。たかが家庭科の調理実習で」

と、男子生徒は言いました。

「はぁ?じゃあアンタは何作るって言うの?」

「そんなの、適当で良いじゃん。湯豆腐とか、おひたしとか」

「何それ?自分だけ楽しようとして…」

「調理実習ごときに本気になってる、お前らの方が面倒臭いんだよ」

と、湯野さんと男子生徒で、議論が紛糾しています。

「どうどう、皆さん落ち着いてください。どうどう」

「…馬鹿にしてんのか?」

「何がですか?」

「…」

と、男子生徒は無言になりました。

どうやら、落ち着いてもらえたようですね。

良かったです。争いは憎しみしか生みません。憎しみは破滅しか生みません。

ここは皆さん落ち着いて、冷静に話し合いましょう。
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