望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「でしたら、こちらからの花嫁を待たずに、国内で婚姻を結んでしまえばよかったのでは?」

「そうですよね、僕もそう思います。ですが、兄はああ見えて一途なところがあるのです」

「まあ」
 カレンは右手で口元を覆った。

「昔、その戦場で出会った女性が忘れられないとか」

「まあ」
 カレンはさらに右手の上に左手を重ねた。どこかの恋愛小説でも読んでいるかのような気分だ。

「そういうわけで、兄はああ見えて愚かな男なのです」

< 10 / 269 >

この作品をシェア

pagetop