望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「でも、優しい方ね」
 カレンの呟きにアドニスは目を見開いた。
「私と子を為すつもりはない、とおっしゃったのは、きっとあなたに爵位を譲りたいからですね」

 アドニスはゆっくりと瞬きをする。
「義姉さんはそこまで気づかれていたのですか?」

「今、あなたの話を聞いて、そう思ったの」
 自分が想っている女性と一緒になれないのであれば、子を為す意味もないし、その子に爵位を譲る必要もない。だったら年の離れた弟に、と。きっと彼はそう考えたのだろう。

「私、今からとても失礼なことを訪ねます。不快でしたら応えなくても結構です」

「はい、なんでしょう?」

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