望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
2.平穏
 五年前のダレンバーナとローゼンフェルドの戦争は、開戦から終戦までに一年という時間を要した。
 ローゼンフェルドは獣人という血が残っている国であり、ダレンバーナは魔力を備えている者たちがいる魔導の国である。
 そしてローゼンフェルドが敗戦したのは、その獣人の力が魔導の力に屈したと言われている。魔導の力の前では獣人の力は無力であった、と。

 魔導の国と言われているダレンバーナではあるが、国民の全てが魔力を備えているわけではない。その魔力を備えている者にどのような基準があるかはわからないが、魔力を備えている者たちは王宮魔導師となって国に管理をされている。だから、ダレンバーナの王族の者であるからと言って、魔力を備えているわけではないし、むしろ王族で魔力持ちである者の方が少ない。
 魔力を備えている者は本当に選ばれたほんの数パーセントの人たちに過ぎないのだ。
 そんな数パーセントの魔力持ちしかいないダレンバーナが先の戦争でローエンフェルドに勝利したのは、運が味方したとしか言いようがなかった。
 だが、運も采配のうち。そしてその運さえも味方につけてしまったダレンバーナは、むしろ強制的に運を奪い取って、手に入れたのかもしれない。



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