望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「だから、一人で無理をせず、私を頼って欲しい」
ですが、とカレンは言いかけて「はい」と返事をした。
「カレン」
カレン自身もレイモンドに名を呼ばれることは慣れていない。名を呼ばれるたびに、ピクリと身体を震わせる。
「あれを、調べておくように言った」
「そうですか」
「君は、気付いていたのか? あれに」
「さあ。なんのことでしょうか。私はただ、あの方が道を塞いで邪魔でしたから」
そう言って笑みを浮かべる姿は悪女。
「旦那様には、ご迷惑をおかけするつもりはございません」
そして消え入るような声で言う。悪女になりきれない悪女。
「カレン。一人で無理をしないでおくれ」
それはレイモンドの心からの願い。それが彼女に届いたかどうかはわからない。
ですが、とカレンは言いかけて「はい」と返事をした。
「カレン」
カレン自身もレイモンドに名を呼ばれることは慣れていない。名を呼ばれるたびに、ピクリと身体を震わせる。
「あれを、調べておくように言った」
「そうですか」
「君は、気付いていたのか? あれに」
「さあ。なんのことでしょうか。私はただ、あの方が道を塞いで邪魔でしたから」
そう言って笑みを浮かべる姿は悪女。
「旦那様には、ご迷惑をおかけするつもりはございません」
そして消え入るような声で言う。悪女になりきれない悪女。
「カレン。一人で無理をしないでおくれ」
それはレイモンドの心からの願い。それが彼女に届いたかどうかはわからない。