望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「旦那様」
 レイモンドが書斎にいると聞いたので、カレンはそこに足を向けた。気持ちがのらないのはわかっている。だから、そこに向けている足も重かった。その重い足を引きずるように運び、なんとかここまでやってきた。

「どうした、カレン。君の方からここに来るなんて珍しいな」

 ソファに座っていたレイモンドは手にしていた本から視線をあげた。

「あの。旦那様にお話がありまして」

「そうか。だったら、座ったらどうだ?」
 レイモンドは、自分の右隣に座るように促す。ちなみに、他に座れそうな場所はない。

「失礼します」
 できるだけレイモンドと距離をとって座る。

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