望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 どの家、と言われた。つまり彼は気付いている。
 そこでレイモンドは読んでいた本を閉じた。ちらりと見えたしおりが、どこかで見たことあるようなものにも見える。

「生まれ育った家に」
 カレンは両手を組んで膝の上においた。

「そうか」
 レイモンドは静かに呟く。「やはり、私も一緒に行こう」

「旦那様?」

「カレン、君の生まれ育った家はどこにある?」
 レイモンドは知っているのに聞いた。彼女の口からそれを聞くことは、自分の中での答え合わせのようなものであると思った。

「ダレンバーナとローゼンフェルドの国境に。どちらに所属しているのかと言われると、多分、ダレンバーナだと思いますが」

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