望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「では、好きにさせてもらう」
 レイモンドの左手が伸びてきた。それはカレンの肩を掴み、無理やりレイモンドの方を向かせる。気付くといつの間にか彼の顔が目の前にあり、口づけをされていた。顔を背けようとするが、彼の力が強くて動かすことができない。彼の顔が離れるのを待つ。

「何を、なさるんですか」
 カレンは手の甲で口元をぬぐう。

「好きにしろ、と言ったのはそっちだろう」
 そういう意味ではないのだが。
「覚えておけ、カレン。君は私のものだ」

 カレンはすっと立ち上がった。
「でしたら、旦那様も覚えておいてください。私がダレンバーナの女である、ということを」

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