望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 その言葉の意味をレイモンドが知ったのは、夕食の時間だった。
 カレンはいきなりテーブルの上に並んでいた料理を手で払った。ガシャンと、食器が割れる音が響き、料理も床に散らばった。

「今日の料理、担当したのはどなたかしら?」
 腕を組み、覚めた目でカレンは問う。
「少々お待ちください」
 執事のジョンソンは落ち着いていた。一度食堂を出たかと思うと、料理人を連れて戻ってきた。

「今日の担当は料理人のスヌークスです」
 ジョンソンは事務的な口調でカレンに伝える。スヌークスと言われた男は、帽子をとりカレンの前で両手を合わせて突っ立っている。

「そう。あなた、クビ。今すぐこの屋敷から出て行ってちょうだい」

「カレン」
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