望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「くそっ」
 それの判断は早かった。彼女の命を奪うよりも、彼女が魔導師であることを報告した方が有意義であると判断したのだ。窓に向かって走り出す。カレンもそれの足元目掛けて氷の魔法を放つ。
 窓からバルコニーへと向かう。そして、そこから飛び降りる。カレンもそれを追いかける。走りながら魔法を放つが、それとカレンの距離は広がるばかり。もう追いかけることをあきらめようと思ったときに、黒い何かがカレンの脇を通り過ぎた。あの黒豹だ。それは真っすぐ逃げているそれを追いかけ、飛び掛かった。

「うわ、なんだ」
 ガブリと黒豹は噛み付いた。見事、逃げるそれの脹脛に。

「離れろ」
 乱暴に足を振り回し、黒豹は吹っ飛ぶ。
「ギャウ」

 それでも足止めには十分だった。カレンが追い付き、それを見下ろす。

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