望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「選ばせてあげる。氷漬けがいいか、火だるまがいいか」

「どっちもお断りだな」

「そう。だったら、切り刻んであげる」

 切り刻むことに適しているのは風の魔法。鋭い風が巻き起こると、それにまとわりつく。風は刃となり、それにいくつもの切り傷をつける。そして、血が舞い散る。いくらでも切り刻む。

「やめろ、やめてくれ」

「あなたが死ぬまでやめない。あなたたちが、ローゼンフェルドにやったことと同じことをやってあげているのよ。感謝しなさい」

 その人であったものは、次第に悲鳴すらあげなくなる。
 呼吸は止まっていた。恐らく、心臓も動いていないだろう。
 赤なのか黒なのかわからない色に染められた人であったモノが、そこに転がっていた。
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