望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレンは冷たい視線でそれを見下ろし、足で蹴ってみた。重い。これはこのままここに置いておくべきか。だが、夜が明けて誰かに見つかっても面倒だ。
 足元に何か寄ってくるものがあった。あの黒豹だ。大きい方の黒豹。いつも怪我をしている子。
 その子が、それを背中に乗せろと言っている、ように思えた。

「あなたが、これを処分するの?」

 頷いたようにも見える。

「でも。あなたにこんな汚い仕事は手伝わせたくない」

 それでもいい、と黒豹は言ったように見えた。断固として譲らない。

「あなたも頑固なのね」
 仕方ないわねと笑って、浮遊の魔法でその人であったものを黒豹の背中に乗せた。

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