望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
　レイモンドは彼女の言うその辺に荷物を置いた。

「旦那様は少しお休みになられますか？　あの時のままで物は片付いていませんが、母がかけてくれた護りの魔法で、すぐに寝室等は使えるようになっているはずです」

「悪いがそうさせてもらう」

「どうぞ。寝室はこちらです」

　一枚の扉。それを空けるとベッドが二つ並んでいた。

「このようなお粗末なところで申し訳ございません。ですが、寝具は魔法で洗浄されております。母の魔法ですが。お好きな方をお使いください」

　レイモンドは入り口に近い方のベッドを選んだ。カレンが部屋を出ていくのを確認すると、レイモンドはそこに横になった。さすがに丸一日馬を走らせるのは疲れた。馬にはカレンが回復魔法をかけていたようだが、レイモンドへのそれはなかった。
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