望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
19.素性
カレンは懐かしい我が家の片づけをしていた。机の上には読みかけの本があった。
確か、この本を読んでいたときに、母親が焦って「逃げるわよ」とか言い出したのだ。やっと戦争が終わって、怪我をした動物たちも癒して、元通りの生活が送れると思っていた矢先だった。
「ああ、もうダメ。間に合わないわ」
いつも冷静な母親が、家の中をグルグルと歩き回っていた。「カレン。こちらに来なさい」
血走った眼をしていた母親に呼ばれた。
「手を出しなさい。両手」
言われた通りに両手を差し出すと、母親がその手を握った。それから何か呟き、ぎゅっと力強くカレンの手を握った。
「あなたの魔法がばれないように封じたわ。いい? あなたが魔法を使えること、魔導師であることをけしてばらしてはいけない。特にダレンバーナの人間には」
カレンはその言葉に頷いた。
確か、この本を読んでいたときに、母親が焦って「逃げるわよ」とか言い出したのだ。やっと戦争が終わって、怪我をした動物たちも癒して、元通りの生活が送れると思っていた矢先だった。
「ああ、もうダメ。間に合わないわ」
いつも冷静な母親が、家の中をグルグルと歩き回っていた。「カレン。こちらに来なさい」
血走った眼をしていた母親に呼ばれた。
「手を出しなさい。両手」
言われた通りに両手を差し出すと、母親がその手を握った。それから何か呟き、ぎゅっと力強くカレンの手を握った。
「あなたの魔法がばれないように封じたわ。いい? あなたが魔法を使えること、魔導師であることをけしてばらしてはいけない。特にダレンバーナの人間には」
カレンはその言葉に頷いた。