望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 人を呼び出しておいて、その仕打ち。

「あの、お母さんは?」

 カレンがそう言うと、王妃はジロリと彼女を睨んだ。

「誰も発言していいとは言っていないわ。ケネス、この卑しい娘をあそこへ連れて行ってちょうだい」

「しかし」
 線の細い男はケネスと呼ばれた。それが彼の名前だろう。
「あなた、私の命令が聞けないの」
 甲高い女の声が響いた。
「承知、しました」
 渋々という表現が似合うのかもしれない。彼は頷き、カレンについて来るようにと言う。カレンはケネスの後ろを黙ってついていく。地下へと続く階段をおりる。深くて、暗い階段。
< 169 / 269 >

この作品をシェア

pagetop