望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「どうして」
 カレンは身体をよじってケネスの拘束を解こうとするが、無駄なあがきとはこのことを指すのだろう。

「どうして、お母さんを殺したの? どうして?」
 喉から出す金切り声。
「どうして、あなたは泣いているの」

「泣いているだと? 俺が?」
 ブレイグは右手で両目を押さえた。そこに濡れる何かがある。

「なんで、あなたはお母さんを殺したの?」
 カレンは暴れるのをやめた。
 目の前の大きな男が、隠すことなくその二つの目から涙を流していたからだ。

「陛下を、あなた様の御父上を助けるためです」
 泣きながらも、その男はキッとカレンを睨みつけてきた。

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