望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 ほう、とレイモンドは唸った。

「私はすでに人を殺しています。ですから、もう、そのことにためらいはありません。私の邪魔をする者は、たとえ旦那様であろうと殺します」

「物騒だな」
 レイモンドは口元を歪めた。だが、今のカレンの目は人殺しの目だ。身構えているのはわかる。相手は魔導師。今すぐここで魔法を使われたら対処のしようがない。

「ああ、わかった。君に興味が湧いた。それでは理由にならないか?」

 カレンは感情が読めないような視線を向けた。
「旦那様は、話をはぐらかすのが得意のようですね」
 彼女の視線が冷たく光った。

 レイモンドはどこまで話すべきか悩んでいた。今、全てを伝えてもいいものか。

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