望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレン・ダレンバーナ。銀色の美しい髪を持つダレンバーナ国の第四王女。その第四王女に縁談の話が舞い込んできたのが、一月(ひとつき)前。相手は、隣国ローゼンフェルドのレイモンド・ジェルミー公爵。彼はローゼンフェルドの騎士団の一つを任されている男であり、二年前のローゼンフェルドとダレンバーナの争いでは、最後までローゼンフェルドの民たちを守り抜いた人物であると言われている。
 だがその二年前の争いはダレンバーナの勝利で幕を閉じ、ローゼンフェルドは戦争を放棄する。それがダレンバーナとの和解の条件であったためだ。
 戦争を放棄しても、国内の秩序を守るために騎士団は存在しており、それに所属しているのが、レイモンド・ジェルミーという男。

 その終戦から数か月後、ダレンバーナは貴族の女を幾人か花嫁としてローゼンフェルドへ嫁がせることにした。また、その逆も然り。名目は、二国間の交流とされているが、言い換えれば政略結婚。その政略結婚の一人に選ばれてしまったのがカレン・ダレンバーナという少女であった。

 一人残された部屋に立ち尽くすカレン。とにかく緊張した。喉が渇いたところだが、ここでは一人でお茶を飲むこともできない。
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