望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 姉の首はあのあと切断した。持ち運びしやすいように。カレンは先ほどの部屋に戻り、あの姉の首を手にする。さすがにこれをこのままここに放置するわけにはいかないだろう。お土産として持ち帰るためにも、滴り落ちる液体を止めなければならないし。
 カレンは自分の衣服が汚れるのも構わずに、それを両手で抱えた。ずっしりと重い。

「カレン」

 レイモンドの声。

「どうかされましたか、旦那様」

 姉の頭を抱えているカレンは、悪魔にでもその魂を売ったのだろうか。

「いや、何も」
 これ以上、彼女に声をかけることは阻まれるような雰囲気だった。

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