望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 カレンはアドニスに連れられ、談話室へと向かう。手元には先ほどの本と、アドニスに薦めてもらった本。彼が「何もこんな埃っぽいところで読まなくてもいいですよ」と言ってくれたので、書庫から二冊ほど持ち出してみた。
 ソファにゆったりと座ると、その脇にその本を置いた。
 メアリーがお茶を淹れると、一礼して部屋を出ていく。

「それで、どのようなご用件かしら?」

「ええ、その」
 アドニスが呼び出したはずなのに、なぜか言いにくそうに頬を赤らめている。カレンは首を傾けた。

「あの」
 と言いかけては言葉を止めてしまうアドニス。

「はい」
 カレンはにっこりと微笑む。

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