望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
5.由縁
レイモンドが屋敷に戻ってきたのは、十日ぶりだった。久しぶりに屋敷に足を踏み入れると、十日前と雰囲気が違うように感じた。なんだろう、どこか明るい雰囲気を感じるのだ。どんよりと沈んでいたあの屋敷であったが、霧が晴れたような、そんな感じがする。
「お帰りなさいませ、旦那様」
執事のジョンソンが出迎えてくれた。
「アディは?」
レイモンドはあの弟の姿が見えないため、尋ねた。
「このお時間でしたら、お庭のほうに出ているかと思います」
ジョンソンも表情を崩さずに淡々と答える。心の中に秘めていることはたくさんあるが、今、この主に伝えるべきことではない、と優秀な使用人は判断したようだ。
「お帰りなさいませ、旦那様」
執事のジョンソンが出迎えてくれた。
「アディは?」
レイモンドはあの弟の姿が見えないため、尋ねた。
「このお時間でしたら、お庭のほうに出ているかと思います」
ジョンソンも表情を崩さずに淡々と答える。心の中に秘めていることはたくさんあるが、今、この主に伝えるべきことではない、と優秀な使用人は判断したようだ。