望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「少し、僕からも話をしてもよろしいですか?」
 黙って話を聞いていたアドニスが口を開いた。

「ええ」

「その前に、お茶のお替わりはいかがですか?」

「ありがとう、アディ。あなたは優しいのね。とても私を気遣ってくださる」

「義理の姉ですから」
 そこで、アドニスは心の底から優しい笑みを浮かべた。

 侍女はお替わりのお茶を準備してくれた。それを見届けてからアドニスが口を開いた。

「この花嫁の交換制度が始まってから、二年が経ちますが、幸運なことに兄には花嫁が来なかった」
 それはジェルミー公爵に合うような花嫁がいなかったからだ。

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