【完結】私と彼の一日限定恋愛。〜探偵編〜
③
「莉羅? どうした?」
静哉さんが、私に視線を向ける。
「いえあの、なんかやっぱり……視線を感じて」
「……やっぱり俺を狙ってるんだな」
そう言った私に、静哉さんはそう言っている。
「………」
なんて返せばいいのか、分からない。 なんて言葉にしたらいいのか、分からない。
そんなことを考えて考えていると「莉羅」と名前を呼ばれる。
「はい……?」
「俺から絶対に離れるなよ」
「……はいっ」
これから何があるのか、私には分からない。 だけど危険なことがあるということだけは、私にも分かる。
「よし逃げるぞ、莉羅!」
「えっ!?」
そして静哉さんは、私の手を掴むとそのまま走り出した。
「っ!……静哉さん!誰か追いかけてきた!」
「このまま走るぞ! 手離すなよ!」
「は、はい!」
かと思ったら、その瞬間に誰かが私たちを追いかけてくる。
「莉羅、こっちだ!」
「っ! 静哉さん!あっちからも来た!」
かと思ったら、反対側からもスーツを着た人が追いかけてくる。
「くっそ……! こっちだ!」
静哉さんは屋上へと続く階段を登り始める。私は静哉さんの後を付いていくのが精一杯で、息が上がってしまう。