【完結】私と彼の一日限定恋愛。〜探偵編〜
「お礼なら、後日きちんとさせて頂きますから」
そこまで頼まれたら、断れない雰囲気になるじゃん、もう……。
「……まあ、そう言うなら」
渋々私は、恋人役を了承することにした。
「で、あの……私は何をすればいいんですか?」
「あなたは、俺の恋人として接してくれれば、それでいいです」
って言われても……。出会って間もない人の恋人なんて、演じられるだろうか……。
「あ、自己紹介遅れましたね。 俺は静哉、蔵間(くらま)静哉(しずや)と言います」
「蔵間、さん。……私は青山莉羅(れいら)と言います、よろしくお願いします」
蔵間さんとの恋人役だなんて、荷が重すぎるけど……。
「よろしく、莉羅」
「……はい」
蔵間さんと私は、今日一日だけ恋人になる。
「あの、蔵間さん」
「どうした?」
「さっき言ってた、調査って何ですか……?」
偽物の恋人の私が、そんなことを聞いていいのかと思うけど、やっぱりどうしてなのか気になる。
「その調査は、極秘調査だよ」
「極秘、調査……?」
「ああ」
ん?どんな、極秘調査なのだろう……?
「今日の十七時から、クルーズ船で開催されカップル限定パーティーがあるんだ」