【完結】私と彼の一日限定恋愛。〜探偵編〜


「お礼なら、後日きちんとさせて頂きますから」

 そこまで頼まれたら、断れない雰囲気になるじゃん、もう……。

「……まあ、そう言うなら」

 渋々私は、恋人役を了承することにした。

「で、あの……私は何をすればいいんですか?」

「あなたは、俺の恋人として接してくれれば、それでいいです」

 って言われても……。出会って間もない人の恋人なんて、演じられるだろうか……。

「あ、自己紹介遅れましたね。 俺は静哉、蔵間(くらま)静哉(しずや)と言います」

「蔵間、さん。……私は青山莉羅(れいら)と言います、よろしくお願いします」

 蔵間さんとの恋人役だなんて、荷が重すぎるけど……。

「よろしく、莉羅」

「……はい」

 蔵間さんと私は、今日一日だけ恋人になる。

「あの、蔵間さん」

「どうした?」

「さっき言ってた、調査って何ですか……?」

 偽物の恋人の私が、そんなことを聞いていいのかと思うけど、やっぱりどうしてなのか気になる。

「その調査は、極秘調査だよ」

「極秘、調査……?」

「ああ」

 ん?どんな、極秘調査なのだろう……?

「今日の十七時から、クルーズ船で開催されカップル限定パーティーがあるんだ」
< 4 / 35 >

この作品をシェア

pagetop