幼馴染大和君の執着愛~俺の最愛の番~
心の準備も無しに別れは突然来る
大事な人と一緒にいられる時間って案外短いのかもしれない
結局大和君のおばあちゃんは一駅先の駅前の公園でみつかった
公園の入り口付近に倒れていたらしい
通りかかったひとが通報してくれたみたいだけどなんでそんなところに・・・・
疑問に思ったけどこの場所っておばあちゃんには見知った場所だったんじゃ?
そう思わずにはいられなくて大和君に尋ねた

「あばあちゃんが倒れてた場所って何か覚えがある?」

「今のマンションに引っ越す前この辺りに住んでた・・・・」
「よくこの公園にも来てた」

彼がぽつりと呟くように答えた
すでに意識はなくって死因は持病の心臓ではなかったようだ
脳梗塞ではないかってことらしかった
途中で転んだような感じで膝を擦りむいたような跡があって・・・・
救急車を呼んですぐ蘇生処置をしたみたいだけどおばあちゃんは帰らぬ人となった
あたしは大和君と一緒に病院に付き添った
彼の動揺とショックが見て取れて一人にはさせられなかったから
それに偶然にもお母さんの勤めてる病院だったからね


「大和君大丈夫?こんな時に申し訳ないんだけどご家族の方に連絡をお願い出来るかな」

「あ、ああそうっすね「色々伝えたいこともあるからお願いできるかな」

「俺から伝えます、色々迷惑かけてすみません」

「いいのよ、おばあちゃん残念だったわ・・・・助けられなくて力が及ばなくてごめんなさいね」


大和君はあたしのお母さんにそう言われると首を横に振った
お母さんはまだ仕事があるらしく大和君に付いててあげなさいって気に掛けながらこの場を去っていった
お母さんが言うには皮肉なことにおばあちゃんが運ばれてきたこの病院は育ての母である美由紀さんが以前入院していた病院だったらしい
大和君がよくお見舞いに来ていたからお母さんも覚えていたらしい
亡くなったことを伝えるって言ってるけど大丈夫かな
あたし・・・・・傍にいるだけで何にも出来ない
無力だなあ、なんて言葉をかけていいのか言葉がみつからない


「あっけねえな・・・・」
「え?「こんなに早く逝っちまうなんて・・・・・・」
「大和君・・・」

「俺のせいだ・・・・・」
「そんなこと「俺がちゃんと鍵かけとけばばあちゃんは出て行かなかった、俺はなんてことを」


自分を責め続ける彼にどう言葉をかけていいのか・・・・
大きな体を丸めて嗚咽を漏らす彼にわたしは抱きしめるしかなす術がない
病院の待合室に並んで隣に座る彼の背中をそっとさすり続けた



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