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「未希、とりあえずスマホそこのコンビニのゴミ箱に捨てよっか?
ついでに、飲み物買って、ATMでお金下ろして来る。
この先、クレジットカードも使わない方がいいだろうから、下ろせるだけ」
「うん…」
私はスマホの電源を切り、蒼君に渡した。
ふと、これで一枝さんともう連絡は取れないな、と思った。
私にとって、やはり一枝さんは特別だったのだろうな。
一枝さん以外の連絡先なんて、どうでもいいから。
蒼君も、自分のスマホを手に取った。
蒼君はどうなのだろう?
「スマホ捨てたら、恵梨香さんと連絡取れないよ?」
気になり、訊いてしまう。
「そうだな。
俺、恵梨香の事嫌いじゃなかったんだ。
恋愛感情はなかったけど。
だから、最後に一言だけ、ごめん、ってLINEしていいか?」
そうか。
恵梨香さんは、上杉朱が蒼君だと知らずにずっと交際していた。
全てを知ったら、恵梨香さんは傷付くだろうな。
「ごめん、よりも、今までありがとうの方がいいと思うよ?」
もし、私が恵梨香さんならそう思う。
ごめん、なんて言われたら、
ずっと騙されていたのか、って気になるから。
まだ、ありがとうの方が、一緒に過ごした時間が全て嘘ではなかったと思える。
「…うん」
蒼君はスマホを触り、そのメッセージを送ると電源を落とした。
なんて恵梨香さんLINEしたのかは分からないけど。
なんとなく、ごめん、とメッセージしたんじゃないかな、と蒼君の顔を見ていて思った。