trade
約束
結局、気持ち的に張り詰めているからか、三時間程しか眠れなかった。


リビングの壁時計を見ると、もうすぐ8時。

カーテンの隙間から、日が射し込んでいる。


蒼君は私が目を開けると、すでに起きていた。



「何してるの?」


蒼君は私に背を向ける形で膝を床に付き、リビングの横のキッチンで棚等を触っている。

もう着替えも済ませている。



「え?ああ。持っていけそうな食べ物探してるんだけど。
カップ麺も結局は湯がないとダメだし。
このクッキーくらいか」


蒼君の足元には、細長いクッキーの箱がある。


そして、手には赤い何か?


「その手に持ってるの何?」


気になり、訊いた。


「ああ、これ?
万能ナイフ。
この先、もしもサバイバル生活とかになったら便利だろ?
あると、きっと役に立つから」


そう言って、それを開くと、ナイフのようなものが数個。


缶切りとかなのかな?


ジャラジャラと色々と付いている。



「そっか。サバイバルか…」


誰も来ないような山の中で自給自足の生活なら。


ずっと、逃げきれるかもしれない。


「とにかく、朝メシにこのカップラーメン食べたら、出るか」


蒼君はそのカップラーメンを掴むと、見せるようにこちらを振り向いた。


またカップラーメン?と思うけど。


この先、もしサバイバル生活とかになるなら。


カップラーメンも、ご馳走だったと思うかもだな。




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