trade
日が落ちる迄、動物園を満喫した。

昼食は遅めに、売店でホットドッグを二つ買い、別荘から袋に入れて持って来ていたクッキーを二人で食べた。


退園する為に歩いている人波があり、
私達もその流れに沿って歩く。


「蒼君、また動物園来ようよ?」


「いや。動物園はもういいや。
疲れるから」


そう笑っている。


普通なら、子供が出来たらまた来よう、とか言ったのかもしれないけど。


殺人犯の娘と、殺人犯の子供に産まれた子が可哀想だから。


蒼君との未来に、子供を持つ事は考えてない。


「駅の方で、何か食べよう?」


そう訊かれ、



「いいよ」

それに、頷いた。

蒼君がいつ自首するつもりなのかは分からないけど。


少なくとも、今日の夕飯を食べる迄は、自首するつもりはないのだろうな。


てっきり、此処を出たらそのまま自首するつもりなんじゃないか、と思っていたので。

まだ一緒に居られる事に、ホッとした。


< 110 / 129 >

この作品をシェア

pagetop