trade
お会計は蒼君が支払ってくれて、
レジ横のボックスに、先程のアンケート用紙を入れていた。
店を出て、蒼君と手を繋ぎ歩く。
繁華街だからか行き交う人も多く、わりとみんなお酒を飲んだ後なのか、
楽しそうに笑っている。
「未希、このまま俺、自首する。
ほら、そこに交番あるだろ?」
蒼君は、そう言って足を止めた。
私も同じように足を止めるけど、その手を引いて、逃げてしまいたいと思う。
「未希、お前は知らなかった事にしろよ。
俺が武田蒼だと知ってはいたけど。
俺が、上杉朱を殺したのは知らなかったって」
「そんなの、通る?」
絶対知っていただろうと、私が追及する立場ならば、思う。
「うん。もしかしたら…、とは思ってたけど。
俺の事が怖くて、その辺り訊けなかったって言えばいいから」
「でも…」
もし、私が、蒼君が上杉朱を殺した事を知っていたら、それは罪になるのだろうか?
犯人蔵匿罪?
もしならなくても、色々とその辺りを取り調べられたりと、面倒だったりするのかな。
「後、昨日から、俺に無理矢理連れ回されていたと、言えよ。
人質にされていたって」
「人質って…」
「でないと、未希も犯罪者になるだろ?
犯人隠避罪?かな」
「別にいいよ!さっきからそうだけど、私も捕まっても!!」
そう言うと、蒼君は大きくため息をついた。
「勝手にしろ」
その口調は、少し怒っているようにも思えた。
蒼君は繋いでいた手を離すと、私の手首を掴み、歩き出す。
それは、交番に向かっている。
その蒼君の不穏な雰囲気を察してか、
一人の若い男性の警察官が、交番から出て来た。
警察官というか、お巡りさん。
「どうされました?」
そのお巡りさんは、私達から距離を取るように、足を止めた。
蒼君も足を止めた。
そして、私の腕を掴んでいた手を離すと、ズボンのポケットから、
今朝あの別荘から持って来た、
赤い万能ナイフを取り出した。
その万能ナイフは、ナイフの刃が出されていて、
私に向けられる。
刃が目の前にある。
レジ横のボックスに、先程のアンケート用紙を入れていた。
店を出て、蒼君と手を繋ぎ歩く。
繁華街だからか行き交う人も多く、わりとみんなお酒を飲んだ後なのか、
楽しそうに笑っている。
「未希、このまま俺、自首する。
ほら、そこに交番あるだろ?」
蒼君は、そう言って足を止めた。
私も同じように足を止めるけど、その手を引いて、逃げてしまいたいと思う。
「未希、お前は知らなかった事にしろよ。
俺が武田蒼だと知ってはいたけど。
俺が、上杉朱を殺したのは知らなかったって」
「そんなの、通る?」
絶対知っていただろうと、私が追及する立場ならば、思う。
「うん。もしかしたら…、とは思ってたけど。
俺の事が怖くて、その辺り訊けなかったって言えばいいから」
「でも…」
もし、私が、蒼君が上杉朱を殺した事を知っていたら、それは罪になるのだろうか?
犯人蔵匿罪?
もしならなくても、色々とその辺りを取り調べられたりと、面倒だったりするのかな。
「後、昨日から、俺に無理矢理連れ回されていたと、言えよ。
人質にされていたって」
「人質って…」
「でないと、未希も犯罪者になるだろ?
犯人隠避罪?かな」
「別にいいよ!さっきからそうだけど、私も捕まっても!!」
そう言うと、蒼君は大きくため息をついた。
「勝手にしろ」
その口調は、少し怒っているようにも思えた。
蒼君は繋いでいた手を離すと、私の手首を掴み、歩き出す。
それは、交番に向かっている。
その蒼君の不穏な雰囲気を察してか、
一人の若い男性の警察官が、交番から出て来た。
警察官というか、お巡りさん。
「どうされました?」
そのお巡りさんは、私達から距離を取るように、足を止めた。
蒼君も足を止めた。
そして、私の腕を掴んでいた手を離すと、ズボンのポケットから、
今朝あの別荘から持って来た、
赤い万能ナイフを取り出した。
その万能ナイフは、ナイフの刃が出されていて、
私に向けられる。
刃が目の前にある。