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「さっきの話の続きだが、お前と上杉製菓の御曹司との関係に、確かに俺は関係ねぇけど」


そういえば、この人にヤラれる前、そんな話をしていたな。


「兄貴が、お前の事を気にしててな。
最近のお前の様子とか俺に訊いて来るけど、
一々、お前の事なんか知らねぇって」



「一枝さんが、私の事を?」


あの人、私の事を遊びだと言っていたのに。


それに、LINEの交換はしたのに、あれから一切連絡すらないのに…。


永倉さんじゃなく、何故、私本人に直接訊いて来ないのだろう。


「とにかく、そういった男と女のごちゃごちゃに、俺を巻き込むな。
お前はこの店、もう辞めろ」


「え、なんで?
なんで私、この店を辞めないといけないの?」


辞めるどころか、私は今まで以上にこの仕事をしたいのに。


「だから、言ってんだろ?
俺は兄貴が怖いから、兄貴が気にしてるお前に、これ以上関わりたくねぇ」


そう言われて、今も私の事を無理矢理しといて、え?と思うけど。


とにかく、私も、これ以上永倉さんに関わりたくないと思った。


忘れたわけではないけど、この人はヤクザで。


そして、この人、蒼君を強請っているかもしれない。


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