trade
その翌日の夜。
私は、また蒼君のマンションへと押し掛けていた。
今日は全くのアポナシだけど、
インターホンのカメラで私の姿を確認した蒼君は、居留守を使う事はなくて、エントランスのオートロックを解除してくれた。
「流石に、もう来ないと思ったけど」
私を部屋に通すと、怒っているのか呆れているのか、どちらか分からない声でそう言われた。
「私も、来ないつもりだった」
その、つもりだったけど。
「じゃあ、なんで?
座れば?」
そう言ってソファーに腰掛けると、
私にもソファーに座る事を勧めて来た。
私は、ほんの少し蒼君から距離を置いて、ソファーに腰掛けた。
「私、蒼君に謝ろうと思って」
「は?なに、今さら?
謝らなくていいから、本当に俺の前に現れんなよ」
「違うの。謝りたいのは、こうやってしつこく蒼君に付きまとう事じゃなくて!」
「じゃ、なに?」
「私、上杉朱は蒼君なんだって、一枝さんの弟の永倉さんに話してしまったの!」
そう言うと、蒼君は少し驚いたように私を見ている。
「一枝さんの弟って、あの未希が働いてるキャバクラの」
「うん。一枝さんが本当はオーナーらしいけど、
その弟の永倉さんが、あの店を管理してて」
「てか、その一枝さんの弟が店の管理がどうとかはどうでもいい。
何故、それをその弟に話すんだよ?」
「ごめんなさい。話したのは、まだ蒼君から全てを聞く前で…。
だから、全てを話したわけじゃないのだけど。
その一枝さんの弟が、私の話を聞いて、蒼君が本物の上杉朱を殺して入れ替わったんじゃないかって言っていて」
「一枝さんの弟って、そっち系の人なんだろ?」
蒼君も、一枝さんの弟の永倉さんが、ヤクザなのを知っているんだ。
「そう。
だからこの先、その事で蒼君を強請に来るかもしれなくて。
でも、蒼君はあの人のお兄さんの一枝さんの友人だから、そんな事しない気もする」
永倉さんは、本気で蒼君を強請つもりなのかそうじゃないのか、よく分からない。
でも、その可能性がないわけじゃない。
私は、また蒼君のマンションへと押し掛けていた。
今日は全くのアポナシだけど、
インターホンのカメラで私の姿を確認した蒼君は、居留守を使う事はなくて、エントランスのオートロックを解除してくれた。
「流石に、もう来ないと思ったけど」
私を部屋に通すと、怒っているのか呆れているのか、どちらか分からない声でそう言われた。
「私も、来ないつもりだった」
その、つもりだったけど。
「じゃあ、なんで?
座れば?」
そう言ってソファーに腰掛けると、
私にもソファーに座る事を勧めて来た。
私は、ほんの少し蒼君から距離を置いて、ソファーに腰掛けた。
「私、蒼君に謝ろうと思って」
「は?なに、今さら?
謝らなくていいから、本当に俺の前に現れんなよ」
「違うの。謝りたいのは、こうやってしつこく蒼君に付きまとう事じゃなくて!」
「じゃ、なに?」
「私、上杉朱は蒼君なんだって、一枝さんの弟の永倉さんに話してしまったの!」
そう言うと、蒼君は少し驚いたように私を見ている。
「一枝さんの弟って、あの未希が働いてるキャバクラの」
「うん。一枝さんが本当はオーナーらしいけど、
その弟の永倉さんが、あの店を管理してて」
「てか、その一枝さんの弟が店の管理がどうとかはどうでもいい。
何故、それをその弟に話すんだよ?」
「ごめんなさい。話したのは、まだ蒼君から全てを聞く前で…。
だから、全てを話したわけじゃないのだけど。
その一枝さんの弟が、私の話を聞いて、蒼君が本物の上杉朱を殺して入れ替わったんじゃないかって言っていて」
「一枝さんの弟って、そっち系の人なんだろ?」
蒼君も、一枝さんの弟の永倉さんが、ヤクザなのを知っているんだ。
「そう。
だからこの先、その事で蒼君を強請に来るかもしれなくて。
でも、蒼君はあの人のお兄さんの一枝さんの友人だから、そんな事しない気もする」
永倉さんは、本気で蒼君を強請つもりなのかそうじゃないのか、よく分からない。
でも、その可能性がないわけじゃない。