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「早くしろよ」


そう言われ、それを口に含んだ。


そんな私の頭を、蒼君の手が撫でる。


その頭を撫でられる感触は、昔のままで。


やはり、この人は私が好きな蒼君なのだと思った。


そして、今、自分がしている事も間違っていないと、思おうとする。


「昔に比べて、上手くなったな。
俺が消えてから、何人の男と寝たんだ?」


そう訊かれて、答えられなかったのは。


好きなこの人に、そんな事を答えたくないとかではなく。


もう何人の男と寝たのか、覚えていないから。


「…もう、イキそう…」


強い力で、頭を押さえられて、
蒼君自身も腰を動かして、それが私の喉の奥迄来て、えづきそうになる。


私の口の中で、蒼君は達して、それを出した。


なんとも言えない味が、口の中に広がる。


「とりあえず、シャワー浴びて来いよ」


そう言って、私の口からそれを引き抜いた。


「え、うん…」


私だけ、シャワー?


「俺は、さっき風呂は入ってるのもそうだけど、どうせまた汚れるから」


そういう意味か。


これで終わりじゃなくて、まだするって事なのか。


「じゃあ、シャワー借りるね」


そう素直に従う私は、本当に馬鹿だな。


「場所案内する」

そう言って、蒼君は私の手首を掴み、バスルームへと連れて行く。



そして、脱衣場へと着くと、


「やっぱり、俺もシャワー浴びる」


そう言って、蒼君は着ていたものを脱ぎ捨てた。


何度も見た事ある蒼君の裸だけど、
恥ずかしさから、目を逸らしてしまう。


「早く、脱げよ」


そう言われ、私は着ているものを脱ぎ捨てて行く。



けど、下着だけはなかなか外せなくて。


「早く、それも取れよ」


そう言って、ブラジャーを外された。


私は恥ずかしくて、両手で胸を隠した。


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