trade

「入らないようにするから」


そう言って、ボクサーパンツを脱ぐと、私の両足を広げ、
それを、私のその場所に擦り付けるように、腰を動かしている。


それが、気持ちいいと思う場所に当たっていて、声が出てしまう。


暫く、そうしていたけど。


「―――挿れて、欲しい」


そう、口にしていた。


実際、前戯の段階で、既に何度も達していて、それなりに私の体は満足していたはずなのに、
それを、欲してしまう。


「ダメだよ」


そう言われ、それに嫌だ、と首を横に振った。


「我慢出来ない」


そう、懇願するように一枝さんを見ると、
困ったようにため息をついている。


「俺も、凄い我慢してたのにな」


そう言って、それを私の体に入れて来る。


充分に潤んでいたので、それは滑るように。



「俺、本当に初めてなのに」


腰を動かすのを止め、私を見下ろしている。



「初めて?」


また、童貞だとかいう、冗談?



「ゴムしないで、するの」


この人、その辺り本当にしっかりとしているんだな、と思った。


一枝さんは、腰をゆっくりと動かし始めた。


やはり、この人とは本当に相性が良いのか、たまらなく気持ちいい。


「あっ…んん…」


夢中でこの人を求めるように、一枝さんの背中に回している腕の力を強めた。


それに応えるように、一枝さんもベッドに沈む私の背に腕を回して、
強く抱き締めてくれた。



少しして、一枝さんは限界になり、私からそれを引き抜くと、
ティッシュにそれを出していた。


一枝さんは処理が終わると、
私の隣に寝転んで来る。


「本当に、こういうのは最初で最後にしよう」


生でするのを、って事か。


この人の弟なんか、避妊なんてお構い無くって感じだったのに、と、
ふと、永倉さんと比べてしまった。


「もし、万が一、私がこれで妊娠したらどうします?」


永倉さんに限らず、蒼君も避妊具を着けない人だった。


その他にも、着けないでした事なんて、私は山のようにあるから。


だから、今回も妊娠なんてしないだろうと、思っての質問だけど。


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