シンガポール・スリング
欲しくて、欲しくて頭の中がおかしくなりそうなんだ。
口から出る言葉は震えていた。
未希子はゆっくりと腕を伸ばしレンの首にかけたのを合図に、レンは貪るようにキスをしながら、未希子をベッドに運んでいった。
自分の服を破ってしまいそうな勢いで脱ぎ捨て、未希子の上着を引っ張り上げた。
!?・・・あの時の・・・。
ワインレッドの下着を付けた未希子の扇情的な姿に眩暈がして、思わず目を閉じた。
ゆっくりと眼を開けると未希子の瞳が不安そうにかすかに揺れたのを見たが、もう止まることはできなかった。
未希子の肌に鼻をつけ、思いっきり吸い込むと甘い香りが麻薬のようにレンを刺激していく。
体中にキスをしながら、膨れ上がる強烈な欲求を前に、自分をコントロールすることなどレンにはできなかった。
逃げ腰な未希子の腰を引き戻し、準備ができているか確認すると同時に、一気に突き上げた。
その瞬間、あまりの快感にレンの吐き出す息が震えた。
歯を食いしばっていないと、女みたいに声を上げてしまうかもしれないほど、初めて味わう感覚だった。
「大丈夫か?」
未希子に聞きながら、自分自身にも問いかける言葉だった。
未希子は涙目になりながらコクコクとうなずいていたが、そのかわいい仕草にレンはハハと笑って、そっと未希子の顔を撫でた。
「気持ちよくさせてやれないかもしれない」
「・・・震えてます??」
「ごめん・・・情けないけど、もう本当に・・・」
「レンさんがいいなら大丈夫です」
未希子の許しの微笑みを見た瞬間、レンはもう止まることができず、覆い被さるようにキスをすると同時に激しく突いて、一瞬にして果てた。
意識がぶっ飛ぶほどの快感にレン自身戸惑い、ふと見ると未希子が硬直したままじっとレンを見ていた。
「あの・・・もう終わったんですか?」
?!
レンは今までの体の関係で、こんなにも恥ずかしい思いをしたことはなかった。
それも未希子に対して。
レンは未希子の眼を見ることができずに、顔を胸元に埋めた。
未希子は恐る恐る手をレンの頭に伸ばし、そっと撫で始めたことで、レンの気持ちは少しずつ落ち着いていった。
「・・・本当にすまない」
「・・・・」
「未希子を気持ちよくさせてあげられなかった。10代の若造みたいに突っ走って・・・でも押さえられなくて・・・」
どんどん小さな声になっていくレンをふわっと胸に抱きしめた未希子は、にっこり笑ってレンの頭を撫でた。
「大丈夫です。レンさんと一緒になれてうれしかったです」
ハッと顔を上げると、未希子が優しく笑いかけてきた。
痛かっただろう?初めてなのに。というレンの問いに、ほんの少し・・・とぎこちなく答え、普通はどういう手順なのかわからないんですがという前置きをした後、シャワーを浴びてきていいですかと尋ねた。