シンガポール・スリング
今日はそれを叶えたい―――。
親指でそっと唇を撫でるレンの色気に未希子は体中が震えた。
おいで。やり残したことを終わらせないと。
レンは未希子の手を取ると、見つめたまま歩き始めた。
未希子はベッドの上に座るまでレンに視線を合わせたままだったがようやくレンの言わんとしていることがわかり、真っ赤になった。
レンは思わず声を上げて笑って、今更だろ?それに昨日の失態をそのままにしておきたくないからね。挽回しないと。
そういうと、未希子をゆっくりと後ろに倒した。
「ま、待って!」
??
「私、そんなに上手じゃないから」
??
「何をしたらいいとかわからないし」
「・・・・・」
「あんまりしすぎたら、飽きちゃうんじゃないかと思って」
レンは数秒ぽかんと未希子を見ていたが、意味を完全に理解したとたん大笑いした。
な、なんで笑うんですか!
「一つだけ言っておく」
レンは両手で未希子の頭を挟むように添え、目を見据えた。
「飽きることは絶対にない。何度も何度も相性を確かめ合って、何をしてほしいか探求していくのが自分の役目だ。それに・・・」
さっきは自分だけが楽しんでしまったから、今夜は未希子に100%楽しんでもらえるよう全力を尽くす。
そう宣言すると着ていたスエットシャツを脱がせ、未希子に覆い被さった。
未希子の体が熱を持つまでにそれほど時間はかからなかったが、狙った獲物をゆっくりといたぶるように丁寧にキスを続け、未希子が体を震わせる部分を見つけると執拗に攻めたてた。
必死に唇をかみしめていたが我慢の限界がきて思わず声を上げると、レンもびっくりしたように動きを止めた。
「ご、ごめんなさい・・・私」
「いや、もっと啼かせたい」
そう言うと、突然入ってきたので、ぁ・・・・と未希子は思わず声をあげた。
レンは口元をほころばせて痛くなかった?と聞くと、未希子は涙目で首を振る。
じゃあよかった?と聞くと顔を赤くしながら、そういうこと、普通聞くんですか?と唇を尖らせた。
すぐ赤くなるんだから。
聞かないと何をしてあげればいいのかわからないだろう?
恥ずかしがっている未希子を面白がって、レンはもっと意地悪なことをしてくる。レンからのレクチャーは夜深まで続き、未希子は自分の世界が完全に塗り替えられていくのを感じたまま意識を手放した。