不器用主人の心は娘のもの
「おはようございます、テイル様、バラド様…」
「おはようございます…」
コリーンに続き娘がいつものように頭を下げ挨拶をする。しかし驚きは隠せない様子で二人は顔を見合わせている。
「娘のそばに置く。コリーン、開けろ」
彼は何とか落ち着き払ってコリーンにそう命じた。
「…!はい、テイル様」
コリーンは一瞬戸惑ったようだったが、すぐにいつもの調子を取り戻して返事をする。
コリーンが荷を解くあいだ、娘は自分宛てという意味だとしっかり理解したらしく、なお驚いたように目を丸くして箱を見つめている。
(…頼む…どうか彼女が、笑ってくれるよう…)
彼は内心そう祈りながら行く末を見守った。
ようやく開いた箱の中身を見たコリーンは目を見開く。そして娘も箱に近付いていき覗き込むと、
「わあぁ…!!」
と、感嘆の声をあげた。
「…テイル様…これは…」
コリーンは唖然としてぬいぐるみを見つめたまま尋ねる。
「娘の仲間だ」
彼はきっぱりと言い切った。
こう言えば、主人の姿で言った意思にも沿い、彼女も親近感が湧いてくれるだろうと思ったからだった。
「…私…の…??」
彼はその娘の問いの返事の代わりに彼女を見つめ、自身が考えた不器用な言い訳をする。
「お前の仲間だ。仲間がいれば怯えず済むだろう」
そう言われ、娘は本当に自身にこれを贈られたのだと実感したらしい。
「っ、ありがとうございます、テイル様…!!」
娘は笑った。
念願だった彼女の、とても無邪気な笑顔。
彼は内心とても喜び、それでも不器用に少し笑って彼女に言う。
「こいつはお前の仲間だ。お前が世話をしろ」
「はい、テイル様…!!」
娘はこの屋敷に来て初めての、とびきりの満面の笑顔を彼に見せてそう返事をした。
「おはようございます…」
コリーンに続き娘がいつものように頭を下げ挨拶をする。しかし驚きは隠せない様子で二人は顔を見合わせている。
「娘のそばに置く。コリーン、開けろ」
彼は何とか落ち着き払ってコリーンにそう命じた。
「…!はい、テイル様」
コリーンは一瞬戸惑ったようだったが、すぐにいつもの調子を取り戻して返事をする。
コリーンが荷を解くあいだ、娘は自分宛てという意味だとしっかり理解したらしく、なお驚いたように目を丸くして箱を見つめている。
(…頼む…どうか彼女が、笑ってくれるよう…)
彼は内心そう祈りながら行く末を見守った。
ようやく開いた箱の中身を見たコリーンは目を見開く。そして娘も箱に近付いていき覗き込むと、
「わあぁ…!!」
と、感嘆の声をあげた。
「…テイル様…これは…」
コリーンは唖然としてぬいぐるみを見つめたまま尋ねる。
「娘の仲間だ」
彼はきっぱりと言い切った。
こう言えば、主人の姿で言った意思にも沿い、彼女も親近感が湧いてくれるだろうと思ったからだった。
「…私…の…??」
彼はその娘の問いの返事の代わりに彼女を見つめ、自身が考えた不器用な言い訳をする。
「お前の仲間だ。仲間がいれば怯えず済むだろう」
そう言われ、娘は本当に自身にこれを贈られたのだと実感したらしい。
「っ、ありがとうございます、テイル様…!!」
娘は笑った。
念願だった彼女の、とても無邪気な笑顔。
彼は内心とても喜び、それでも不器用に少し笑って彼女に言う。
「こいつはお前の仲間だ。お前が世話をしろ」
「はい、テイル様…!!」
娘はこの屋敷に来て初めての、とびきりの満面の笑顔を彼に見せてそう返事をした。