不器用主人の心は娘のもの
娘に何も言えない苦しみは、さらに自分を苦しめる。
「テイル様…」
彼は、呼び掛ける彼女にも返事をすることが出来ずに下を向き、彼女を抱きしめたまま黙り込んだ。
彼女は何も言わずに彼の腕の中におさまっている。
彼は名残惜しく思いながら彼女を抱き上げ、ベッドに寝かせた。
とにかく、自分のせいで心に傷を負わせてしまったであろう娘を、せめて休ませなければならない。
「…今日は寝ていろ…。食事は後で持ってこさせる…」
彼の言葉に彼女は微笑んでうなづいた。
「ありがとうございます、テイル様…」
部屋を出ていこうとした彼は、もう一度、ベッドに寝そべる彼女に振り返る。
「…娘…『私』のことは、『好き』か…?」
彼女の口からはっきりと聞きたいと思った。
しかしこれは娘にとって、『主人』ではなく『執事長』としての自分のことになるが。
彼女は即答した。
「…はい、テイル様が好きです…!」
とても嬉しかった。
しかし自分のせいとはいえ、『主人』に対して彼女はもう、良い感情を持っているとは思えない。
彼はその差に苦しんだ。
「…申し訳ありません…でも、テイル様に嘘を付きたくないんです…」
自分の表情や質問が彼女を悩ませたのだろう。
頭を下げる彼女に彼はなんとか笑い掛け、
「…分かった。すまない…」
そう言って部屋を出た。
彼は執事姿のままコリーンを『主人』の部屋に呼び出す。
「コリーン、娘の様子は見た。休ませた娘に食事を与えてやってくれ。コックには消化の良いものをと伝えておく」
コリーンは下を向いたまま。
しかし彼女はすぐに彼を見据えた。
「テイル様…」
彼は、呼び掛ける彼女にも返事をすることが出来ずに下を向き、彼女を抱きしめたまま黙り込んだ。
彼女は何も言わずに彼の腕の中におさまっている。
彼は名残惜しく思いながら彼女を抱き上げ、ベッドに寝かせた。
とにかく、自分のせいで心に傷を負わせてしまったであろう娘を、せめて休ませなければならない。
「…今日は寝ていろ…。食事は後で持ってこさせる…」
彼の言葉に彼女は微笑んでうなづいた。
「ありがとうございます、テイル様…」
部屋を出ていこうとした彼は、もう一度、ベッドに寝そべる彼女に振り返る。
「…娘…『私』のことは、『好き』か…?」
彼女の口からはっきりと聞きたいと思った。
しかしこれは娘にとって、『主人』ではなく『執事長』としての自分のことになるが。
彼女は即答した。
「…はい、テイル様が好きです…!」
とても嬉しかった。
しかし自分のせいとはいえ、『主人』に対して彼女はもう、良い感情を持っているとは思えない。
彼はその差に苦しんだ。
「…申し訳ありません…でも、テイル様に嘘を付きたくないんです…」
自分の表情や質問が彼女を悩ませたのだろう。
頭を下げる彼女に彼はなんとか笑い掛け、
「…分かった。すまない…」
そう言って部屋を出た。
彼は執事姿のままコリーンを『主人』の部屋に呼び出す。
「コリーン、娘の様子は見た。休ませた娘に食事を与えてやってくれ。コックには消化の良いものをと伝えておく」
コリーンは下を向いたまま。
しかし彼女はすぐに彼を見据えた。